2010年2月26日金曜日

バイオディーゼルは5%(いわゆる「B5」)以下


2009.12.05 Saturday
author : ecoeco
国の政策について
先日、別件で経産省関東経済産業局に行くついでがあったので、石油課を訪ねてバイオ燃料での疑問点を確認してきた。

まずは今年の2月より施行された改正品確法で、軽油とバイオ燃料を混合する場合の「特定加工業者」登録に関してだ。ご存じとは思うが、混合して製造、使用するには販売はもちろん、自家使用の場合でも対象となる。つまり、バイオエタノールは3%(いわゆる「E3」)でバイオディーゼルは5%(いわゆる「B5」)以下でなければならず、定期的に品質確認が義務付けられている。製造施設は事業開始前に、事業者登録が必要になるという法律だ。

そこで、質問としては製造所としては、混合せずバイオ100%の場合は登録は必要ないことを確認。私たちのように廃油を回収してバイオ燃料(100%)を製造している施設は関係ない。あくまでも5%混合での製造でなければいいのだが、問題はバイオ燃料購入者が混ぜる場合はどうかということだ。

国の見解としては、「バイオ燃料を自動車のタンク内で混合することは違法である」という。つまり、タンク内では撹拌装置もなく、分離したままで走行することになり危険であるという認識で、また正確な計量が不可能で5%以外は脱法になる。結論的に言えば、自家用車であれ、軽油と混合してはいけないことになる。バイオ燃料は100%か、国の指定した事業者のB5以外は使用できない。

バイオ燃料で走行中、途中で燃料切れになったためにガソリンスタンドで緊急避難的に軽油を入れて(残量に事実上5%程度の混合で)走行することはやむを得ないが、それを常態化したり、混合率を20%や50%などど適当に混合するのも違法であり、脱税にもなるとのことだった。自分での混合は、あくまでも緊急避難的な状況でなければならないという訳だ。

以前、混合比率に関係なく、県税事務所では混ぜた分だけ自己申告すればいいという話もあったが、国としては混合比率で5%以外はともかく認められないという。製造する側は100%で売っていても購入者が常態的に混合を前提に入れると、その時点で事業者登録は設置場所が自動車なので住所不明でできないから違法ということになる。これからは100%での製造、販売、使用が条件で、事実上、5%以外の混合は前提にできないという見解だ。詳しくは資料をもらってきたので少し研究しようと思う。

さらに、以前は自動車と異なり公道を走行しない特殊自動車、いわゆるユンボ、トラクターやコンバイン、ブルドーザーといった規制の対象にならない建機や農機も今後の新車については「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律」(通称:オフロード法)で使用規制が始まるという。バイオ燃料使用によるエンジントラブルを避けるためにも、事業登録した5%バイオ燃料以外は規制の対象にするという方向のようだ。

民主党政権が温室効果ガス削減を25%目標に掲げているときに、バイオ燃料推進に逆行する規制強化はおかしいのではないかとけっこう突っ込んだ議論に入り、法改正の根拠に質問が及ぶと、そもそもディーゼルエンジンは軽油で走行を前提に開発されており、バイオでの不具合が当然だというような話になったので、まるで石油連盟の代弁みたいで、その科学的根拠や実証した実験データーなどがあるのか質問すると、それは国土交通省や環境省の領域だということで逃げられた感じだ。

どうも昔のガイアックスとかいったガソリン代替アルコール燃料の時のように、石油業界や自動車業界などの圧力で、小規模な燃料製造所や中古自動車がバイオ関係で勢いづくのを嫌がっているかと穿った見方をしたくなるような動きに感じる。

確かにバイオ燃料の品質にバラツキがあり、このサイトでも昨年の新聞でのエンジントラブルの多発を取り上げてはいるが、一方で化学屋だけでなく、バイオ対応のエンジンについての機械屋さんの研究も重要なところで、例えば知っている企業は、エンジンに取り付け型の小型撹拌装置を研究しており、エマルジョン燃料でのSVO方式での走行を意図しているし、欧米ではそれがむしろ増えているのではないだろうか?

あくまでも品質確保、消費者保護という美名に隠れてだが、どうも市民の自立的なエネルギーの確保や自己責任を育成するといった感じではない。民主主義は対等な立場で、自分たちの事は自分たちで責任を持たなければ育たないもので、お国に守られなければならないようでは、おねだり民主主義から脱却できないだろう。また、生産者と消費者が、企業と市民が共生して地球環境を考えていこうという姿勢でなく、「自分だけが上手くいけばいい」といった原理優先の、政治と官僚を動かす共棲(パラサイト)的な業界利益が見えてこないか。

ベンチャー的な冒険がなければ先には進まない。国に守られなければクレームをつける消費者にも問題があり、市民活動の敵は市民の場合も多いのも確かだが、規制緩和と規制すべきところがきちんと見分けられるか、銀行家同様行政の目利き能力も重要になる。そのためにも意見交換が大切なのだろう。まずは正しい認識、知識が必要だ。
| - | 12:39 | comments(0) | trackbacks(0) |

1 件のコメント:

  1. とても共感しました。私も調べれば調べるほど、同じ匂いを感じます。次のブログを楽しみにしています。

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