2010年1月15日金曜日

ロイズはこの海運情報を独占

1871年ロイズ法(Lloyd’s Act)によりロイズは法人化された。この法人化が、今日のロイズの基盤を築いたとロイズは自ら評価している。ロイズ法はロイズを法人と定め、ロイズ委員会に対し、会員を管理する権限を付与したばかりでなく、会員以外の者がロイズの保険証券に署名を行ったり、ロイズのスタンプを作成、使用することは犯罪行為であると定めた。また会員の権利保護に万全を尽くし、破産、詐欺や信用毀損行為などによる除名手続も規定した。さらに海運情報をロイズの業務の一環として認めている。ロイズはこの海運情報を独占することで優位に立っていたが、これは世界中に張り巡らせたエージェンシーと信号所によるところが大きい。特に信号所は海運情報の独占に貢献し、1890年代後半以降の無線の発明、普及までこの独占は続いた。このようにロイズの法的存在、規約、バッジの規定などは 1871年であり、その意味でロイズの歴史は300年ではなく、100年と見ることも可能である。

ロイズは300年にもわたり、一部の特権階級の間で運営されてきた。また仲間内の秘密主義も温存され、シンジケートに資本を提供しているネームに対しても情報提供の義務はなかった。ロイズはイングランド銀行よりも長い歴史を有しているのである。


PDFだが、詳しくは以下で読める。上はPDFからの抜粋。
http://www.sj-ri.co.jp/quarterly/data/qt31-2.pdf


ロイズ(Lloyd's)とは、ロンドンにある世界的な保険市場であり、二つの意味がある。

国際的な保険市場としてのロイズ
イギリスのシティ(金融街)にある保険取引所、またはそこで業務を行なっているブローカー(代理店業者)およびアンダ-ライター(保険引受業者)を含めた保険市場そのものを指す。

法人としてのロイズ
イギリス議会制定法によって法人化された団体。ブローカーとおよびシンジケートを会員とするロイズ保険組合のことを指す。Corporation of Lloyd'sとして知られる。

ロイズ保険組合はブローカーとアンダーライターを会員とする自治組織であり、通常の保険会社と異なり、ロイズ保険組合自体が保険引受業務を行なうのではない。保険を引き受けるのは、無限責任を負うアンダーライターであり、ロイズ保険組合はロイズ保険ビルを所有し、取引の場(ルーム)と保険引き受け業務に関する事務処理サービスを会員に提供するために存在している。

この複雑な二重性はよく使われる「われわれは個人としてはアンダーライターだが、全体としてはロイズである」という言い回しにあらわされる。
会員は保険金の支払に上限を定めない無限責任を負うとされ、保険会社の再保険の引受け先として知られる。

ロイズの仕組み
ロイズでは個々のアンダーライターが直接保険取引を行なうのではなく、シンジケートと呼ばれる会社を通じて保険を引き受ける。アクティブアンダーライターあるいはリーディングアンダライターと呼ばれる保険引受業務を実際にロイズで行なうアンダーライターがシンジケートを組織し、他のアンダーライターは無限責任を持つシンジケートへの出資者としての形をとる。ロイズには300あまりのシンジケートがあり、海上保険や火災保険、盗難保険などそれぞれ得意とする分野の保険を引き受けている。中には、ネッシーが捕獲された場合の懸賞金などを保証するなど風変わりな保険ばかりを引き受けるので有名なシンジケートもある。各シンジケートの保険引き受け能力は、出資するアンダーライターの人数と出資額によって決まる。

ロイズで保険をかけるにはブローカーを通じて行なう。ブローカーはスリットと呼ばれる保険証書を持って、ロイズのルームにいる各シンジケートのアクティブアンダーライターたちを回って交渉し、危険を分散するために複数のシンジケートに分割して保険を引き受けさせる。保険を引き受けたシンジケートは、支払いが生じたときのために他のシンジケートに再保険をかける。被保険料収入はそれぞれのシンジケートに、保険料の引き受け割合に応じて分配される。アンダーライターは保険証書の下に署名するところから名づけられた。名前を書くことからネームと呼ばれることもある。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%82%BA


万景峰号、ロイズと再保険=月内にも入港可否判断-改正油賠法で国交省

北朝鮮の貨客船「万景峰92」号が改正船舶油濁損害賠償保障法に基づき、英国の保険会社と契約を結び、同社が世界最大の保険引き受け組織「ロイズ・オブ・ロンドン」(ロイズ保険組合)に再保険を掛けたことが4日、分かった。国土交通省が外交ルートを通じて契約内容を調査しており、5月中にも入港可否を判断するとみられる。
ロイズとの再保険が確認されれば支払い能力が担保されるとの見方が一般的で、万景峰号の入港が認められる公算が大きくなった。 

(時事通信)- 5月5日6時1分更新


保険は、保険契約者同士が互いに助け合うという社会制度であって、契約時点で遠い将来が約束されるものだ。ロンドンで300年以上の歴史を誇るロイズ保険を例にとってみよう。彼らが、いかなる場合にも、全財産をはたいても、幹部が保険契約者に支払いをすませてきたのは、その社会的約束を一度でも破れば一切の信用を失うからである。つまりロイズはシンジケートと呼ばれる複数の保険引受団のグループから成り、それぞれのシンジケートは「ネーム」と呼ばれる個人会員で構成され、個人会員が「シャツのボタンを売っても保険金支払いを完了する」という無限責任を持って保険金を支払うことになっている。その信頼性を保証するため、歴史的には、ロイズ会員は貴族と大資産家に限られ、したがってその会員になることは最高の栄誉であった。


「日本のゆくえアジアのゆくえ」広瀬隆(著)のP135~136からの引用。

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